top of page

月鳴の理念

 俳句とは、旅である。

 人生という旅である。

  それが大袈裟だと言うのならば、日々という旅である、と言いかえようか。

  しかし、それはつまり、最後には人生という旅になろう。

 私は今、旅団をつくる。大きな世界を渡るため飛行船に乗り込み、小さな日常を乗り越えるため自転車に跨る。

生きるという大冒険のため、黒船の錨を上げるのだ。


 正しさの拳を振り上げて、どこまでも他人を痛めつけることのできるこの世を、しぶとく生き抜くための旅団である。

 

 下衆な笑い声と同調圧力に押し潰されそうなこの世を、粋に生き抜くための旅団である。

 

 俳諧旅団は、君の苦しさを吐き出してくれよう。君の嬉しさを飲み込んでくれよう。

 私が大切に想えるのは、せいぜい、この声が届く範疇にすぎない。

 この船の中が、その距離だ。

 

 一人でも多くの仲間を乗せられたらいい。

​ さあ、共に、日常をわずかに乖離する俳諧世界を、旅しよう。

黎明の月鳴り響く水面かな

© 2018 RYOGEN NAKAUCHI

bottom of page